2005年12月01日

第12回:責任の所在@

武士が世の中を治めていた江戸時代はそうではありませんでしたが、
日本はいつのまにか政治家や役人を筆頭にして、
責任を取らない風潮が蔓延するようになったと思えてなりません。


しかし中には明らかな過誤が証明されないかぎり
責任を取らなくてもよいことがあります。
例えば医師という専門職に携わっている者は、
治療を求めてくる人に対して、正当な理由があれば別ですが、
診察治療の義務はあっても治癒の保障を確約する責任はないのです。
もしそれでは許さないというのであれば
医師のなり手は一人もいなくなります。

そしてこういう事を基本的に理解していないことから
メガネに関してのトラブルが起こり、
消費者が昏迷する事態を目の当たりにすることがよくあります。
次は消費者生活センターから全日本眼鏡連盟に寄せられた相談です。


『眼科の処方箋をもとに指定のメガネ店でメガネを作ったが、
合わないので、他のメガネ店で作ろうとしたら
処方箋を出してくれない。そういうことがあるのか。
(平成十四年十月二十九日 一般消費者)』

指定店に行かないのなら処方箋を出さないという眼科は
患者本位の医療からはほど遠いと言わざるを得ませんが
その裏には、出来上がったメカネの責任は指定のメガネ店に取らせて、
メガネ調製の最も根幹である度数決定をした眼科には
非難の眼を向けさせないという魂胆があります。

指定店は眼科との関係がありますから
お店のほうに不手際がない場合でも泣く泣く責任を取って
レンズの無料交換をしたりします。

ふつう、最初医者からもらった薬が効かなかったからといって
医師側が責任を取って次に出す薬がタダになることなどありません。
メガネの処方箋も同じでそれが結果的に具合が悪かったとしても、
処方する際には、これで善し、として専門職が決定したものですから
結果責任は取る必要はない訳です。

眼科で処方箋をもらい、それをもとにメガネを作り、
見え具合が悪かった場合、消費者のほとんどは
眼科でなくまずメカネ店に苦情を言います。

それは実際にお金を払ったお店のほうが
眼科よりはるかに文句が言いやすく、
医者には気後れして言いにくいという事情もあるからでしょう。

その時メガネ店から
「このメガネは処方箋のとおりに作ったので
見え具合についてはもう一度眼科のほうに相談してください」と言われて
お客さんはまた眼科に行き、再処方してもらい
当初のメガネ店でレンズの入れ替えをすることになった場合、
その費用は何所が負担するのでしょうか。

一般に医者から処方箋をもらい院外薬局などで購入、
服用した薬剤の効用が思わしくなくて、
次に再処方で貰う薬代について、
それを薬局が無料にしたりすることはありません。

しかしメガネの場合、お客さんの不利益をおもんぱかって
追加代金に配慮するお店があるようですがこれもおかしな話です。
入れ歯のように手直しができるものなら別ですが、レンズはそれができず、
メガネ店にとってはレンズの新規仕入と加工のやり直しという負担が生じます。

本来、メガネ調製における検眼は検者と被検者の共同作業ですから
度数決定においては被検者側にも責任の一端はあります。
また眼科で発行する処方箋については専門職の仕事ですから
その結果についての責任は問えないのです。

この場合の責任は、メガネという一般に医療用具でないものを
求める時にそういった機関を選んだ側の思慮のなさにもありますし、
処方箋どおり作ってお客さんに迷惑がかからないかどうかを
判断できないメガネ店のほうにもあります。
ではメガネ調製におけるトラブルからできるだけ遠ざかり、
万一トラブルになった時に、責任の所在を明確にするには
どうすればよいでしょうか。
それは次回で。


posted by せのをや at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | めがね道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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